めまい

疲れた時に目の前が急にゆらゆらして目がまわったような経験はないでしょうか。めまいは様々な器官が不調をきたして起こります。

命の危機に直結するものは脳に起こる不調です。強い頭痛、歩くと倒れてしまう、手足のどこかが動きにくい、しゃべりにくい、ひどい倦怠感がある、等があれば早く救急病院を受診して下さい。

次にめまいの原因として多いのは耳の不調によるものです。起き上がったらぐるぐる回る、頭を動かすと回る、といった症状は耳の中にある耳石の不具合によるものが考えられます。また耳がトンネルや高い所に登った時のような詰まり感がありふらふらした症状があれば、内耳のむくみによるものが考えられます。

こういったふらつき、めまいのお悩みがあればお気軽にご相談下さい。

内耳性めまいの主な疾患

めまいは様々な原因が考えられるため、耳鼻科医による詳細な診察や検査が必要です。患者様がめまいを経験している場合は、早めに耳鼻咽喉科に相談することが重要です。

良性発作性頭位めまい症(BPPV)

良性発作性頭位めまい症はめまい疾患の中で最も多い疾患です。特定の頭位をとるとめまいが誘発され、このめまいは長時間持続せず多くは1分以内でおさまります。難聴や耳鳴は伴いません。

内耳にある卵形嚢に存在する耳石(カルシウム結晶)の一部が剥がれて半規管内に迷入してしまうことが原因と考えられています。耳石が剝がれやすくなる原因は不明ですが、更年期以降の女性に多いため加齢や女性ホルモンの低下が関与していると考えられています。また頭部の外傷や長期の寝たきり状態、耳の手術、他のメニエール病などの内耳疾患も原因と考えられます。

診断には目の動きをみる眼振検査が必要です。赤外線CCDカメラを使用して頭の位置を変化させて目の動きを観察します。

治療は自然軽快することも多いですが、耳石置換法(めまい体操)が有効です。半規管のどの部位が原因になっているか確認し半規管内の耳石を元の位置に戻すために頭を動かす方法です。

 

メニエール病

ぐるぐる回るような回転性めまいが誘因なく突然生じ、通常は耳が圧迫されるような症状と閉塞感、難聴と伴います。そのめまい発作は30分から数時間続くことが多く、嘔気や嘔吐を伴うことも少なくありません。症状がおさまっても再発しやすいことが特徴です。

メニエール病は内耳に存在するリンパ液が過剰にたまる内リンパ水腫によって生じると考えられます。このリンパ液は分泌と再吸収が絶えず行われていて一定量に保たれていますが、このバランスが崩れることによって量が過剰になりメニエール病を引き起こすと考えられます。このメカニズムは明確にはされておらず、現在のところ先天的な内耳構造やアレルギー、免疫異常、内耳への血流不足などが挙げられており単独ではなくストレスなどいくつかの要因が重なり誘発すると考えられます。

治療は内リンパ水腫を改善する目的での利尿薬や抗めまい薬、制吐剤などが使用されます。

薬物治療を行ってもめまい発作が頻繁に起こり日常生活に支障をきたす難治性メニエール病には内リンパ嚢解放術、アミノ配糖体抗生物質鼓室内投与法、前庭神経切断術など外科的治療があります。また難治性メニエール病に非侵襲的な治療法として2020年より保険適応となった中耳加圧療法があります。鼓膜に陽圧と陰圧を交互に加えることで内耳に貯留したリンパ液の排出を促す治療になります。

メニエール病はストレスや疲労時に再発しやすいため生活習慣の改善や有酸素運動などが重要と考えられます。

前庭神経炎

前庭神経炎はどちらかの前庭神経が急速に障害される疾患です。原因としてはウイルス感染や神経の血流障害などが推測されていますが、正確な機序はわかっていません。発症から2-3日は日常生活に支障をきたすほどの強いめまいがありますが、それ以降は徐々に改善していきます。耳鳴や難聴などの症状は伴いません。発症の1-2週前間前に先行感染(風邪)を経験している場合があります。

治療は回転性めまいによって生じる症状の軽減のため抗めまい薬や制吐剤、抗不安薬などを投与します。こうした対症療法はなるべく短期間で終了します。安静維持や長期間の薬物療法はかえって症状を長引かせてしまうことがあり、その後は積極的に歩行練習や体操などを行います。通常の前庭神経炎であれば特別なリハビリテーションは不要であり通常の生活動作で改善していきます。

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